Column 9.8年収・購買力分析

年収分布と購買可能価格帯の関係

全国・首都圏・東京を性別・年代別に比較

出典:総務省「就業構造基本調査(令和4年)」e-Stat(CC BY 4.0)

マンション購入を検討するとき、最初の壁になるのが「自分はどの価格帯を狙えるのか」という問いです。このページでは、総務省の就業構造基本調査(令和4年)をもとに、日本の年収分布を可視化し、不動産の購買可能価格帯との関係を整理しました。全国・首都圏・東京・大阪・愛知・福岡の6地域、男女別・年代別に切り替えながら確認できます。

全国の年収分布:中央値は約280万円

令和4年時点で、有業者(給与所得者・自営業者含む)の年収中央値は全国で約280万円前後と推計されます。 全体の約50%が年収300万円以下に集中しており、「平均年収400万円台」という数字がいかに 一部の高所得層に引き上げられているかがわかります。

年収200〜300万円の区分が最も人数が多く(約1,182万人)、次いで〜100万円(約1,028万人)、 100〜200万円(約1,024万人)と続きます。この構造は、パート・アルバイト・派遣などの非正規雇用や、 65歳以上の高齢有業者が全体の分布を大きく押し下げていることによります。

一方、年収1,000万円超の層は全体の約4%(約257万人)にとどまります。 「高年収帯の物件しか買えない」と感じる購入検討者が多い中で、実際には1,000万円超の層は マーケット全体の少数派であることを念頭に置くことが重要です。

東京・首都圏は全国より中央値が高い

東京都に絞ると、年収分布は全国より高い方向にシフトします。 400〜600万円帯の割合が相対的に高く、東京の中央値は全国より50〜100万円程度高いと推計されます。 首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)も同様に全国を上回るレベルです。

ただし「東京で働く=高年収」ではありません。 東京都内でも400万円以下の有業者は全体の40%超を占めており、物価・地価の高さとのギャップは小さくありません。 このギャップが、23区内での購入を困難にしている根本的な要因です。

男女の年収格差:依然として大きい

男女別に見ると、差は顕著です。男性の全世代中央値は約360万円前後と推計されるのに対し、女性は約200万円前後に留まります。 女性の場合、年収300万円以下が全体の約70%を占めており、 高収入帯(700万円超)への到達割合は男性の数分の1以下です。

共働き世帯でのマンション購入においては、夫婦2名の合算年収で融資審査が通る場合も多いため、 どちらか一方だけで「購入可能な価格帯」を判断するのは適切ではありません。 ペアローンや収入合算の活用を前提に、世帯年収ベースで考えることが重要です。

年代別のピーク:45〜54歳が最高水準

年代別に見ると、男性は45〜54歳でピークを迎え、 この年代では年収500〜700万円帯の割合が最も高くなります。 30代後半〜40代前半は「年収の上昇期」にあたり、 住宅ローンの審査基準として重要な「現在の年収」が最も伸びやすい時期です。

30代前半(マンション購入の主要年齢層)では、男性でも年収400〜500万円が最多帯であり、 東京23区の物件(70㎡で8,000〜10,000万円超)を単独で購入するには厳しい水準です。 「35年ローン・変動金利1%・頭金15〜20%」を前提にしても、必要世帯年収は700万円を超えるケースが多く、 東京都心部では共働き前提がほぼ必須といえます。

20代前半は年収200〜300万円帯が中心で、まだ資産形成フェーズです。 この年代での購入検討は、将来の収入上昇を見込んだローン設計が必要になります。

年収別の購買可能価格帯の目安

一般的に、住宅ローンの借入可能額は「年収×7〜8倍」が目安とされています(フラット35・変動金利いずれも)。 頭金を20%程度用意できる場合、購入可能な物件価格は概ね以下のイメージです:

世帯年収借入目安購入可能価格(頭金20%)対応エリアイメージ
400万円2,800〜3,200万円3,500〜4,000万円埼玉・千葉・神奈川郊外
600万円4,200〜4,800万円5,000〜6,000万円東京城東・城北・横浜郊外
800万円5,600〜6,400万円7,000〜8,000万円城南・城西・東急沿線
1,000万円7,000〜8,000万円8,000〜10,000万円副都心・港南・湾岸エリア
1,500万円〜1億円〜1.2億円〜都心3区・高級住宅地

※上記はあくまで目安です。金融機関の審査基準・頭金・諸費用・属性により大きく変わります。

東京23区内の新築・築浅マンション(70㎡)の相場が7,000〜10,000万円に達している現状では、 世帯年収800万円超でも「背伸び」が必要なケースが多くなっています。 このサイトの「予算シミュレーター」や「駅別相場データ」と合わせて活用することで、 自分の年収層に見合った現実的なエリア選定につなげることができます。

ダッシュボードの見方・使い方

上部の「📊 ダッシュボード」タブでインタラクティブなグラフを確認できます。 地域(全国・首都圏・東京・大阪・愛知・福岡)、性別(全性別・男性・女性)、 年代(全世代・10歳刻み)の3軸で絞り込みが可能です。

  • ·「実数」モード:各年収帯に何万人いるかを棒グラフで表示。ボリュームゾーンが視覚的にわかります。
  • ·「百分位」モード:上位何%に入るかを累積分布(CDF)で表示。「自分の年収は上位何%か」が一目でわかります。
  • ·グラフ上にマウスを乗せると、中央値・平均・上位10%ラインも確認できます。

出典:総務省「就業構造基本調査(令和4年)」e-Stat(CC BY 4.0)

対象:有業者(給与・自営業等含む)。無業者・専業主婦(夫)は含まない。

地域区分:首都圏=東京・神奈川・埼玉・千葉の合計